「派遣であっても安定して働きたい」が、やっぱり本音
私は10年以上、派遣社員の雇用形態でWEBデザイナーとして働いていますが、派遣という働き方を選んだ理由は、いくつかあります。
「納得いかない残業をしたくない」といったような、ワークライフバランス的な側面もありますが、他方で「正社員で転職活動をして、まるで転職が決まらなかった」なんて事情もあります。
正社員の面接を落ち続ける日々の中、技術的な自信はそれなりにあった私は「人間性ではなく仕事で評価してほしい」なんて考えてもいました(まあ、それはそれでどうかとも今になっては思うのですが😅)
現在、私の周りにも派遣WEBデザイナーや派遣WEBディレクターが多くいますが、当然派遣として働いている理由は様々でしょう。
スキルや実績を得て正社員を目指している方、趣味のために時間を使いたい方、はたまた体調面から長時間労働ができない方など、その人なりの事情や理由を抱えているものです。
そして、その派遣社員の大多数が考えている事として、「同じ就業先で長いこと働きたい」という思いがあるのではないでしょうか。
現在の法制度では、派遣社員は基本、同一の職場(派遣先)で3年以上勤務できないことになっています。
しかし、これは本音として非常にありがたくない(私も含めて)。
3年ごとに転職活動をするのは億劫ですし、業務もまた覚えなおし。何より、現在の職場が気に入っている人にとってはリスクしかない(次の職場が良い職場とは限らない)💦
やはり、派遣として働いていても、できれば安定して働きたいものです。
ところで、3年以後も同一派遣先で就業する場合、就業先企業で正社員化する、あるいは派遣元(派遣会社)で無期雇用される方法があります。
前者は企業によっては(特に大企業)なかなかハードルが高いのが現状ですが、後者においては最近、無期雇用で受け入れてくれる派遣会社が増えてきているのが現状です。
かく言う私も、近年はこの無期雇用有の派遣会社にて、同一派遣先に3年以上継続して勤務しています。
無期雇用への転換された実感としては、何より安心感が格段に違うといった所でしょうか。
有期雇用のように「3年しかない」という感覚であれば、どうしても日々がソワソワしてしまうものです(特に2年経過後時点から)。
加えて、仕事というものは3年経って「さあ、これから」というイメージではないでしょうか。
勤務も覚え、同僚の人となりも把握し、これでさらに貢献できるといったタイミングでお別れ。。
どうも現行の「3年縛り」という法制度には疑問を感じずにはいられないのです。
ただ、このように魅力が多いと感じられる無期雇用派遣ですが、決して良い面ばかりでもないというのが実際です。
同一派遣先で長期間勤務する際に、派遣WEBデザイナーに生じる問題点について、下記に挙げてみました。
無期雇用派遣で働く場合の問題点
スキルがあまり向上しない(あるいは止まってしまう)
WEBデザイナーが同一派遣先で長年勤務する場合、まずスキルが停滞してしまう可能性が高いです。
まず「同一」であるため、業務に慣れてしまえば刺激がなくなる。
「無期雇用」であることから安心感が増し、危機感がなくなる。
加えて、「派遣」という立場上、簡単かつ単純な業務がアサインされるケースが多く、業務がただ繰り返すだけの作業になってしまう。
有期雇用派遣の場合、数年毎に転職活動を行わなければならないため、スキル向上のモチベーションも維持しやすいですが、無期雇用派遣の場合、何となく意欲がなくなり、だんだんとスキルレベルが低下していくデザイナーもたまにいます。
言葉は悪いですが、ちょっとぬるま湯になってしまっている状況と言えるでしょうか。
転職に怖気づいてしまう
長く同じ職場に留まっていますと、「外の世界」が怖くなってしまうこともあります。
もし、転職したいと思い立っても、なかなか一歩踏み出しづらく、「自分はもうこの職場でしか通用しないのではないか」などと考えてしまい、より一層現在の職場に根を張る選択をしてしまうパターンです。
給与が低いままになる
派遣社員の場合、一度その時給で契約してしまうと、以後なかなか給与が上がりづらいです。
私の経験でも基本的に、時給が上がった事はあまりなく、上がってもせいぜい1年で30円位だったりしました。
無期雇用派遣の場合はさらに、派遣会社によっては等級などが定められているケースもあります。
等級が上がれば時給も上がりますが、等級の上限が定められており、それ以上の昇給の目途がない。あるいは人事評価の基準が厳しく、等級がなかなか上がらないなどの話も聞きます。
派遣WEBデザイナーの時給は近年、上昇傾向にあるというのが私の印象です。
長い年月、同じ派遣先で勤務していると、ずっとその時給で働いていることになるかもしれないという事は念頭に入れておくべきです。
無期雇用派遣で働くWEBデザイナーが取っておくべき対策
技術を意識的に磨く
まずはこれに尽きるでしょう。
社外の勉強会などに参加するのも良いですし、オンラインの授業などを利用するのも手です。
事業会社のWEBデザイナーの方であれば、外部の制作会社から納品されたデザインやソースコードをチェックしてみるといった方法もあります。
WEBデザイナーといっても、Photoshopなどのソフトやコーディングだけが業務ではありません。
アクセス解析やライティングなどに幅を広げて考えてみても良いでしょう。
現在の職場で求められている業務を精度を上げたり、周辺業務の勉強をして「できる事」を増やしてみたり。方法は様々にあるかと思います。
「市場調査」を怠らない
前述のように、派遣WEBデザイナーの時給は近年増加傾向です。
十数年前は1,500円から1,600円が中心だった求人も、最近は1,800円~1,900円が多くなってきたように感じます。
つまり当時契約した人はあまり時給が上がらず現在に至っており、他方で最近契約した人はほぼ同じ業務内容でも、より高い時給で契約している可能性が高いのです。
正社員の給与は会社の業績や物価の上昇に合わせて上がりやすい傾向にありますが、元々人件費を安く抑えるための派遣社員は、こうした社会の情勢に合わせて給与が上がることはまず考えられません。
「高い時給で働きたい」「現行の時給では年々しんどくなってきた」といった場合、現在の派遣先に交渉をしてもまず埒が明かないと考えた方が良いです。
条件を良くしようとするのであれば、現状より高い時給の案件に転職する方が手っ取り早いのです。
現在は転職を考えてなくても、派遣会社の求人情報はできるだけコンスタントにチェックしておくのがおすすめです。
時給の価格帯を大まかにつかんでおく、そして前項で述べたように技術の習得を怠らない。
無期雇用の安心感に浸り過ぎず、いざと言う時(転職)にはいつでも出られるように準備しておく。
「給料が安くて辞めたいが、転職できる自信もない」という事になれば、あとはもうその就業先にしがみつくしかない。
正社員であればしがみつくのも良いかと思いますが、派遣社員でしがみつかなければならないのは、とてもツラい生き方だと私は思います。
しがみついて生きるのはツラいです
冒頭で紹介しましたように、WEBデザイナーが派遣社員として働く理由は様々でしょう。
ただ、やはり有期雇用か無期雇用かに関わらず、派遣先にしがみついて働くのは結構ツラいワークスタイルだと私は考えています。
私自身も「もうこんな会社でしか通用しないのかな」と考えてしまうようになってしまった時期があります。
雰囲気は良くて居心地が良いが、思うような実績も付かず、仕事も単調で全く面白くないしやりがいもない(えらい言い方ですが💦)。
有期雇用の派遣先でしたが、「3年取り敢えずしがみつこう」なんて考えていたら、あっさりと1年で契約を切られてしまいました😅
「しがみつこう」なんて考えると、余計危険な事になるというのが、私の感触です。
思考も停止してしまうし、挑戦する気概も失いがちになる。知らず知らずのうちに自信が削られて行ってしまうものです。
そんな経験があったので、私はできるだけスキルを身に付けたり、転職の予定がなくても派遣会社の求人をこまめにチェックするようにしています。
ちょっとイキがっているように思われるかもしれませんが、
(会社の)力にはなるけど、しがみつく気はない
といった心境なのです。
無期雇用の形態で働いていますが、安堵しきっているとそれだけ危険です。
気付けば、相場に見合わない給与で、技術も錆びれて、でも飛び出す勇気もない。
そんな未来を思い浮かべると、たぶんそこには笑顔の自分はいない。
だからこそ、自分で自分の未来を切り拓いて行こうとする想いが大切なのだと感じているのです。
今回はかなりカッコつけた、まとめでした😅
siesta