40~50歳代未経験の人がWEBデザイナーを目指すのはありか?
近年、「WEBデザイナーとして働きたい」という方の年齢層が広がってきていると感じています。
WEBデザイナーという職業の歴史が浅いこともあるでしょう。かつて(20年位前)は、若い人が目指す仕事というイメージでした。
それが段々と、40~50歳代といった年齢層の人たちも目指す職業になってきているというのが実感です。
セカンドキャリアや副業としての選択肢と考えている方もいれば、「新しいことへの挑戦」として目指している方もいるでしょう。
私が現役のWEBデザイナーとして働いており、かつ同年代な事もあるかもしれません。
よく40~50歳代の方から「全くクリエイティブ未経験なのですが、WEBデザイナーって、私の年齢からでもできるのでしょうか?」と訊かれることがあります。
答えは、「やり方によってはYES」です。
もちろん、スキルや知識の習得は避けられません。
それに加えて、何より重要になってくるポイントがあるというのが私の考えです。
以下にポイントをまとめていきます。
40~50代未経験の方が、WEBデザイナーで働くためのポイント
デザインかコーディングのどちらかに絞る
まずスキルや知識の学習に関してです。
WEBデザイナーの場合、大きく分けてデザインとコーディングという業務があります。
端的に説明するならば、PhotoshopやIllustratorを使うのがデザイン。HTMLやcssなどをマークアップするのがコーディングです(端的過ぎますが💦)。
デザインとコーディングのレベルが両方とも非常に高いというWEBデザイナーはあまりいないというのが、多くの職場を経てきた私の実感です。
「デザインもしくはコーディングのどちらかが得意」であったり、「両方ともそこそこ」といったレベルのWEBデザイナーが大半だと言えます。
まずは後者の「両方ともそこそこ」を目指したい所なのですが、実はこの「両方そこそこ」も結構、到達するには些か大変なレベルなのです。
そのため、私はまずデザインかコーディングのどちらかに重点を絞って勉強する事をお勧めします。
どちらかを選ぶには、単純に好き嫌いでも良いでしょう。あるいは、まず両方軽く触れてみて、自分に合うと感じたものを選ぶのも手です。
全く未経験の場合、好きか嫌いか分からない場合もあるかもしれませんが、「頼まれたらうれしい」方をイメージするのも良いかと思います。
40~50代からのスタートですと、若い人より日々の時間が圧倒的に少ない場合も考えられます(家族や仕事などに時間を使うことが多い)。
デザイン・コーディングとも習得の範囲が広範なため、本当に「両方ともちょっとずつ」という状態になってしまう可能性も高く、「どちらでも使えない」といったケースに陥ってしまう事もあり得ます。
昨今におけるWEB制作技術の進歩は目覚ましいものがあります。
ノーコードツールを利用すれば、ある程度コーディング技能は補えますし、あるいは、得意不得意を補えるような仲間を作っておく。
こうした工夫で、自身の足りない技術を補完することもできます。
「片方はやるが、もう片方はまるでやらない」という位に振り切ってしまうのはまた問題ですが、デザインとコーディングのどちらかに重点を置いておいた方が、「どっちつかず」を避けられます。
加えて、相手から見てどちらを得意にしているのかが分かりやすいのは、仕事をアサインされる基準になるでしょう。
制作会社ではなく事業会社を選ぶ
制作会社はハードな職場環境である場合が多く、どちらかと言えば若い人向けの職場と言えるかと思います。
加えて、美大や専門学校などで勉強してきているメンバーが多く、技術が高くかつ最先端です。
絶対とは言い切れませんが、40~50代未経験の方が制作会社にWEBデザイナーとして採用されるケースは非常に低いと考えられます。
もし、WEBデザイナーとして企業に所属するのであれば事業会社での勤務が良いでしょう。
事業会社の場合、制作スキルだけではなく、その周辺の見識も必要とされます。
これまで培ってきた業界の知識などが活用できれば有利ですし、趣味でやってきた事を活かせるような事業を行っている会社であれば、そうした知識を武器にする事もできます。
テレワークが多い会社に応募する
私自身、20年以上にわたるWEBデザイナーのキャリアがありますが、年齢を経てきて思う事。
「どうも、年配は使いづらいのだろうな」という感覚です😅
外見などもちょっと若作りしているつもりなのですが(痛々しくならない程にですよ💦)、やはり相手が年上ですと、ちょっとやりづらさがあるのだろうなと慮る年齢になってきました。。。
ただ、最近はテレワークが広く普及しています。
対面や同じ職場にいつもいるとなると、つい敬遠されがちな年齢層ですが、テレワークによって直接顔を合わせる機会が減ったというのは、ある種お互いに気を使わなくて良い環境が構築されたとも捉えられます。
同僚というよりも、「外注先の年配WEBデザイナー」といったイメージになるのかもしれません。
こうした事情からも、今以上に40~50代WEBデザイナーが働ける職場が増えていくように感じています。
年齢層が高めの会社を探す
業種や顧客層によって、企業の年齢層というものは大きく変わってきます。
スマホゲームの会社であれば職員の年齢層は低くなり、テレビショッピングの会社であれば職員の年齢層が高い、といったケースも往々にしてあるものです。
以前と比べ、今日の日本はシニア世代が元気であるのも特徴です。
定年退職前後に、同僚たちで新しい会社を立ち上げるといった事もあるでしょう。
こうした企業に「WEB担当」として入社するのも、WEBデザイナーとして活躍できる機会になり得ます。
採用側としても、技術が高くても若すぎる人より、技術はまあまあでも話が合う人を選ぶケースもあるかと思います。
雇用形態はこだわらない
「WEBデザイナーとしてゆくゆくは独立したい。」「企業に在籍せず、クラウドソーシングを活用してセカンドキャリアや副業をしたい。」
上記のように考えている方もいらっしゃるかと思います。
ただ、できれば一度はWEBデザイナーとして企業で働くことが大切である、と考えています。
昨今ではオンラインの授業をはじめ、たくさんの書籍、さらにはWEBに上がっている現役のプロによる制作Tipsなど、現在WEBデザイン技術を学ぶ環境は、とても豊富に用意されています。
しかしながら実は、勉強で学ぶ事以上に、実務で身に付ける事が多くあるのもWEBデザインの世界です。
アルバイトでも良いので、一度はWEB制作の場に身を置いてみる。
デザインに対する考え方や、実務でしか身につかないルール、はたまた現場の空気感が、その後のクリエイティブを大きく変えてくれるでしょう。
WEBデザイナーとして「何を実現したい」か
未経験の40~50歳代の方が、WEBデザイナーとして働く際のポイントを上記において見てきました。
年齢が上がってきますと、新しい知識や技術を身に付けるのは次第に難しくなっていく、というのが一般的に言える事でしょう。
記憶力も落ちてきますし、自分のために使える時間も少なくなってしまいがちです。
そうした面を補うには、「WEBデザイナーという仕事で何を実現したいか」が大事だと思います。
「将来の仕事に困らない」「転職の際に有利な武器になる」「定年後も食いはぐれない」という理由でWEBデザイナーを目指す方もいるかもしれませんが、動機としてはちょっと薄いかなと感じています。
「お金」がゴールになるのでしょうが、お金を稼ぎたいのであれば、他にも職業や儲け方はあるでしょう。
実はこれは若い人にも言えます。こうした理由だけですと年齢関係なく、人はなかなか伸びないものです。
お金が欲しいのは当然あっても良いのですが、他にも「WEBデザイナーではないとダメな何か」があると人は強いです。
- 実家のお店のECサイトを作って、売り上げを伸ばしたい
- 知り合いの会社のWEBサイト担当として、その人を助けたい
- 商店街のサイトを作って、人の賑わいを取り戻したい etc...
このような、WEBデザインを通じて「実現したい何か」がある人は、着実に成長していっていると感じます。
まずは実現したい想いを胸に、技術と働き方をしなやかに周囲にマッチさせていく。
若いデザイナーとは、また一味違ったデザイナーが出てきて、活躍されることを願っています。
siesta